前回で第2回歌詞タイトルシリーズは終了。というわけで今回からは普通に戻ります。
第2回歌詞タイトルは桜高軽音部「ふわふわ時間」より取らせて頂きました。
そういえば、この前東大に行った某同級生のブログを久々に読んでいたんですが、やたら熱意がこもっていて簡潔で論理的で説得力のある文章で改めて感心しました。
俺もああいう文章が書けるようになりたい…まああいつは言葉で生きてきたようなところのある人間なんで、かなわないのは自明の理なんですがねw

<M10に伴う一連の変化についての考察>
少し前から書き続けていた駄文が完成したので。

・ダメージスタックの廃止
今まで用いられてきた多くのコンバット・トリックが姿を消すことになります。(ただし、プレイング上のトリックやテクニックは新たなものが増えるかもしれない)
直感に反する「見えざるパンチ」をゲームから消滅させることが目的、ということですが。
《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》と《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》が睨み合っている、など実際の盤面を考えるとよくわかると思いますが、
生け贄をコストとする能力を持つクリーチャーはしばしば盤面を膠着させていました。当て逃げで簡単にアドバンテージを取れるためです。
故にそのようなクリーチャーは現行ルールのもとでは本質的に防御的な性質を備えていたと考えられます。
ところが今後はライオンが長老に攻撃することに迷いはなくなるでしょう。つまりよりゲームが攻撃的、ビートダウン的になるのです。
この方針はマジックというゲームが向かおうとしている方向に合致するものであると考えられます。

・唱える(cast)、プレイする(play)、起動する(activate)
今までマジックは多少の例外はあれ、「規格の統合」を目指す方向に進んできたと思います。
「瞬速」「警戒」「畏怖」「版図」「速攻」「到達」…特に正式名称を持たなかったものが規格化され
「クリーチャー」「アーティファクト」「エンチャント」…といったタイプはそれぞれが別個のものではなく、組み合わさってカードを形作る属性になり(クリーチャー・タイプですら部族の登場でクリーチャー固有のものではなくなりました)
壁とレジェンドというルール的な意味を持つクリーチャー・タイプは廃止され(壁はタイプ自体は残っていますが)
クリーチャーのみが「レジェンド」、それ以外は「伝説の」で表わされていたパーマネントの伝説性は全て「伝説の」に統合され
というふうに、「同じ構造は同じテンプレートで表す」という方向性であったわけです。
ところがここにきて、プレイする行為がカード・タイプごとに違う用語で表わされることになりました。
構造的に見れば、確実に全てを同じ言葉で表した方が統一性があります。それをわざわざ崩してまで唱える、起動するという言葉をねじ込んできたのです。
つまりゲームの構造の美しさ、統一性よりも見た目のファンタジー性が重視されているのです。
現状、個人的にはこの変更はいただけないと思います。
もちろんWotCが考えなしにこんなことをするとは思えないんですが…何か今後これが重要になってくるのでしょうか。

・追放する(exile)
ゲームから取り除く(remove from the game)と比べるとどうでしょうか。
「追放する」の長所:ゲーム外領域が実際にはゲームの一領域であることがわかりやすい。
「取り除く」の長所:これらの言葉を知らない初心者が見たとき、何をするのかおよその見当がつきやすい。
個人的には一長一短であると思います。
「ゲームから取り除く」という言葉の特徴は、一般的な日本語(英語)であるということです。ゲーム用語としてそれを知らなくても何が起こるのか見当がつくのです。
実はこの変更、「~は攻撃に参加してもタップしない」が「警戒」に変わったのと全く同じものだと考えられます。警戒についても上に挙げた長所と短所はそのまま言えます。
故に…ここまで言っておいてなんですが、これは特に問題ないでしょう。

では次に、細かい部分について見ていきましょう。

・《Doom Blade》《Dread Warlock》
第10版の《恐怖/Terror》《切り刻まれた軍勢/Severed Legion》に相当するこれらのカード。
共通しているのは「黒でもアーティファクトでもない」が「黒でない」に変更されていることです。
もともと何故アーティファクトが対象外であったかと言うと、アーティファクト・クリーチャーは意思を持たない人形であるが故に恐怖や畏怖を感じることがないという理屈でした。
「アーティファクト」が単なるパーマネントの一属性と化し、意思を持つと思われるアーティファクト・クリーチャーも多い現在、この変更は妥当な物といえるでしょう。
恐らく今後は基本的に「黒でもアーティファクトでもない」というテキストは消滅するでしょう。

・《Goblin Artillery》
オークがゴブリンに変更されました。
単に部族シナジーを重視して、というのも考えられるのですが、《護民官の道探し/Civic Wayfinder》が部族シナジーを失っていることを考えるとそう単純なものではないと思います。
実はこのセット、オークが1体もいません。
ゴブリンとオークは立ち位置の近い種族であり、オークよりもファンタジー種族として認知度の高いゴブリンを選択した、ということでおよそ間違いないと思います。
オークの存在そのものが抹消される理由はないので、今後エキスパンションであればオークの新種が登場する可能性はあるでしょう。

総括すると、個人的には今回の変更はマジックというゲームのイメージ性を高めるために良く考えられていると思います。
その副産物としてplayの分化という明らかにわかりにくくなる変更を生んでしまったのは残念ですが。

<EDH>
レシピ弄ってたら基本土地も含めて全部1枚積みになったという。
これはあれか、《汚れた契約/Tainted Pact》でも積めということか?

コメント

kondohi
2009年7月9日0:32

正直、playが「唱える」と「場」の両方の意味があったのは、英語圏では紛らわしかったと思うんだな。

スカルクランプ
2009年7月9日0:35

>otakutalkerさん
それは同意です
俺も最初は何のことかわかりませんでしたからねw
ただ「場」がbattlefieldになった以上プレイはplayのままで良かったと思うんですよ
というか、M10ルールでもplayって言葉は残ってますし。
なんかいろいろ中途半端な気がするんですよね。counterも分けろや!とか。

ネタ蒔き
2009年7月9日3:47

呪文のプレイ、土地のプレイ、起動型能力のプレイ
これらは構造的にそれぞれ違う行動だって事なんじゃないかな。
同じ意味を持つ2語を1語にまとめる事と、異なる意味を持つ1語を2語に分ける事は、「ゲームの構造を美しくする。合理的にする」と言う点において同じだと思う。
勿論otakutalkerさんの書いてる理由もあるけどね。

counterについては今後2語に別れる可能性はあると思うよ。

秘密についてはそんなお金が無いってのが実情じゃないかな。

丹依悠。
丹依悠。
2009年7月9日8:05

>唱える(cast)、プレイする(play)、起動する(activate)
言いたいことが上記ご両人に言われてしまっとりますが、
まぁ、あとは正規の用語じゃなく俗称で言ってる人もいて、多数派の俗称をそのままな。
「唱える」は……古参兵にとっては違和感あるんですが間違ってないよねー

現状、私は呪文カードの場合は「キャスト」って言ってる派なので。
土地は「置く」かな……(ぉ
「アクティベイトッ!」は某レイモスの中の人が多用してたなぁ


>ひみつ
客観的に見ると一般受けするものではないから、誰しも目立つところに出していっても
営業的にマイナスになると思うの。
欲しい人は言わなくても、頼まなくても、探すし調べるだろうしねぇ

* の/ん/あ/く *
2009年7月9日9:39

黒は元々アーティファクトに触れない色だった。それはアーティファクト・クリーチャーも触れなかった。これが4版以前に黒に与えられていた色の役割。
その役割をぶちこわしたのが《闇への追放/Dark Banishing(ICE)》だったわけだが。
その辺の言及を忘れた文章って何だかなと思う。能力としての畏怖/Fearは残るし

スカルクランプ
2009年7月9日11:22

>ネタ蒔き時さん
なるほど、そういう見方もありますか…
よく考えてみると「起動する」はむしろ分けるほうが自然かもしれません。
ただ土地「及びタイプの確定しないカード」をプレイするってのは何とも美しくないなぁとは思ってしまいます。
普段はcastと表現される行為が、ある状況において土地が出てくるか呪文が出てくるかわからないから、とりあえずplayって表現しておこう、ってことですよね。

>丹依悠。さん
アクティベイトッ!言ってみたいですwww

> * の ん あ く *さん
すみません、その辺は完全に失念してました。これはやっちゃったな…
が、今回は能力としての畏怖/fearも収録されてないんですよね。
基本セットから基本キーワードが消滅するということは…?って話ですね
まあそんなこと言っててもゼンディカーに普通に入ったりするかもしれませんがw

>ひみつについて
まあこれは半ば愚痴なんですけどねw
金がないのはわかりますが、何かと販促が空回りしてるように見えてしまいまして。

アキツン@てんつゆ
2009年7月9日23:19

いつも楽しく読ませていただいております。
勝手ながらリンクさせていただきました。

M10ルールは世界観の強化を謳っているだけあって、用語の変化に説得力がありますよね。
castとplayには少し違和感が残りますが、今でも「キャストする」などと使い分けているプレイヤーもいますし、すぐ慣れるのではないでしょうか。


スカルクランプ
2009年7月10日0:07

>アキツンさん
はじめまして!
こちらからもリンクを張らせて頂きますね。

まあcastも慣れるのは間違いないと思いますし、今回は本当にファンタジー性が高まっていて良い感じです。

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